2023年09月29日
Coleman 275 & Coleman 275 A
【コールマン 275 & 275A】
こんにちは。
今回はUSモデル・ダブルマントルランタン#275シリーズを紹介したいと思います。
1975年、US製としては最初のイージーライトモデルとして生産が始まります。
イージーライトモデルは73年頃からカナダ工場で生産が始まりますが、この70年代はまだ試行錯誤の時期だったと思われます。
それまでのインスタントライトでは、バルブステムで燃料のコントロールを、そしてジェネレーターのクリーニングは別のレバーで行っていました。
一方、イージーライトモデルではバルブステムだけで両方の作業を行うことが出来るようになります。
上の画像は1976年 #275のカタログデビュー時のものです。
このカタログに掲載されているモデルはグローブ、カラー(ベースレスト)、ON~OFFのプレートなどに販売されたものとは若干の相違点が見られます。
性能・仕様
照度 400CP/タンク容量 約1リットル/点灯時間 8時間/色 ダスクブラウン
グローブ #880/マントル #21A/ジェネレーター #220E5891
キャピタルと呼ばれる部分です、#275と#275Aとの外観の違いはこのプレートとカラー(ベースレスト)です。
#275では LIGHT の表示があります。
バルブノブをひねる事で OFF~LIGHT~ON の位置が固定されますが・・・
カチッ・・と止まった場所が必ずしも最適な場所でないこともあります。 *後述
#275A用キャピタル #275A5071
#275Aでは LIGHT の表示が省略され ON とOFF の文字が大きくなります。
キャピタルに貼り付けられたこのプレートは剥れやすいので浮いているようであれば貼り直しをお勧めします、なくしてからでは遅いですからね。
#275のカラー(ベースレスト)部です。
#275Aのベースレスト部です。
記されたモデルナンバーはもちろんですが、点火方法の説明もそれぞれ異なります。
#275A バルブAssy #275B6571
#275のバルブはトラブル*が多い・・・と言うのは有名な?話です。
*消火しない、異常燃焼など・・・
#275Aでは改良されたバルブが装着されます。
#275Aは79年から生産が開始され、80年からカタログ掲載されます。
バルブはAssyでの互換性はあります。
生産年 #275は75年~79年 ・ #275Aは79年~83年
フューエル&エアチューブ(フィードチューブ)内にはバルブコアと呼ばれる小さなバルブが内蔵されます*。
*赤丸部 この画像は同じ構造の#505ストーブのものです。
バルブステムを回転させることでエクセントリックブロックが上下しジェネレーターのニードル(ロッド)を動かしガスチップ(噴射口)をクリーニングします、同時にブロックの下部がバルブコアの開閉を行います。
OFF
ON
さらに、#275ではバルブコアに連動したフューエルチューブ内のニードル(フューエルロッド)が燃料の吸い上げをコントロールします。
バルブコアとニードルの動きが同調しないとスムーズな点火・消火が出来なくなることも考えられます。
OFF の位置でニードルがフューエルチューブの吸い込み口を塞ぐ状態。(画像上)
ON でニードルの細く削られた溝部分が吸い込み口を開放している状態。(画像下)
この同調が正常であれば LIGHT の位置はインスタントライトでの1/4 の状態(燃料と空気が点火に最適な混合比)になると思われます。
*上の画像は解説のために撮影しました、実際とは多少異なります。
点灯時バルブステムを右に回転させると OFF の手前で消灯することがあります、これはジェネレーターのニードルがガスチップを塞いでいる状態ではありますが、フューエルチューブは完全に塞がれてはいません。
OFF の位置で残留していた燃料が燃え尽き消灯するのが正常です。
このOFFの状態ではバルブコアは燃料を遮断していなければなりません。
ジェネレーターのガスチップは開放されている状態ですが・・・
フューエルチューブもバルブコア同様に塞がれているはずです。
バルブコアの不良、ガスケット(パッキン)の劣化で燃料が止まらない(消火しない)等のトラブルも多いようです。
長年の使用でバルブコアが緩んだり、交換されたバルブコアの長さが変わることで正常な可動域ではなくなる事もあります。
フューエルチューブ内のニードルを支えるスプリングがヘタってしまったりすることも考えられます。
とても繊細な部分です。
#275A フューエル&エアチューブ パーツ#275B5231
改良された#275Aのフューエル&エアチューブです。
燃料と空気の吸い込み部を精密化(最適化)することでフューエルチューブ内のニードルが不要になったようです。
ニードルを廃したことで同調の必要もなくなりました。
このことで以前までのトラブルは軽減されたと思われます。
ただし、改良された#275Aでもバルブコアが原因のトラブルはあるようです。
#275系の点灯時はバルブ全開が基本です、光量調整はできません。
このシステムは後のCL系*に引き継がれますが・・・
CL系はさらに進化します・・・光量調整が可能になりました。
*CL系= #286 #288 #290 の初期モデル。
バルブコアは基本的に自動車用(シュレーダーバルブ)と同じ構造ですが、材質は異なるかもしれません。(耐熱性・耐油性など)
交換の際は信頼できるパーツを・・・。
着脱には自動車用のムシ回し*もしくは車載用のパンク応急セットなどに含まれている工具が利用できます。
*タイヤ用のエアバルブは「虫・ムシ」と呼ばれます・・・自転車用では「ムシゴム」・なんて言いますよね。
#275に装着されているインデックスと呼ばれる操作位置を固定する部分です*。
* コの字型のスチールパーツ。
#275はこのインデックスで、そして#275Aではステム先端(バルブ内部)に取り付けられたパーツでおよそ180度のバルブステムの可動域を保っているようです。
#275のインデックスの固定方式は前期はEリング、後にロールピンになりました。
上画像がEリング、下画像がロールピンです、分かりづらいかも・・・
ロールピンではステムに小さな穴が、Eリングではステムに溝が掘られています、共に小さなパーツなので分解時は慎重に。
#275後期 ロールピン
バルブステム、イージーライトシステムの最重要パーツのひとつです。
上 #275A用 #275-5141
下 #275用 #275A2141 インデックスを固定するロールピンを差し込むための穴が開いた後期タイプです。
複雑だった#275から#275Aではインデックス部が省略され簡素になりました。
バルブノブは小さなクリップがステムに差し込むだけで固定してくれます。
#275系の共通パーツです、着脱はワンタッチです。
#275系のグラファイトパッキンは専用サイズを使用します。
左から #216-6201 #118B6201 #242-6201 #275-1401
一番右の大きくて厚いのが#275系用です。
#242-6201 は本来#242系、#200系等に装着されるのですが、最近は#220系等に装着される #118B6201 と共用になったようです。
#216-6201 は Quick-Lite 系ランタンや#500系、#425系ストーブ等の細いバルブステムに対応します。
他には・・・・ #5404-6201 LPガス用などもあります。
ピンク(グリーン)&アルミのピクニックストーブなどはこのパーツです。
繊維状のものが含まれているので表面及び断面は凸凹しています。
フィッティングナット #275A1051 リング #275-106
エアインテークチューブをバルブと接続するためのパーツです。
リングはなくしやすいので注意が必要です、これがないと接続できません。
フレームナット #5410-2451
フレームをバルブに固定するためのナットです。
ベイルハンドル #275B1091
#275系専用ハンドルです。
このベイルハンドルも#275系の大切なデザインの一部だと思います、テーブルなどに置いた時のシルエットはこのハンドルのラインがいっそう引き立たせてくれます・・・
#275-120 ボールナット
アルミ製の#275系用です。たて溝と格子状の2バージョンあります。
#275Aの後期から格子状のものが装着されるようになると思います。
バーナー部です、画像上から
ミキシングチャンバー #220-5261
バーナーチューブ #220-3301
バーナーキャップ #220-5231
これらのパーツは#220系と共通、「J」 「K」 モデルとは同じものです。
#275系の当時のパーツはスチール素材が使用されますが、#220系旧パーツ真鍮素材のものも問題なく装着できます。
右に装着しているのが#275系標準のもの、左に装着しているのは旧#220系のパーツです。
ジェネレーターは#220系と同じ #220E5891 を使用します。
ジャムナット(ジェネレーターナット)は #605-210
#220系、#200系等とも共通です。
最近の傾向として簡単にジェネレーターを交換してしまうようですが・・・
多少の不調はクリーニングで生き返ることもあります。
曲がってしまっても*、焦げてしまっても使えるうちは使いましょう!!
*曲がってしまったジェネレーターでも正常に燃焼しているのなら修正の必要はありません、逆に修正して不調になることもあります。
ガスチップ(噴射口)とニードル先端の位置が重要です。
できるだけパーツの交換はしない・・と言うのも愛情のひとつ・・と思います。
無尽蔵に有るわけではありませんからね・・・
#275系の特徴そして魅力でもあるグローブ。
#275Aは83年に生産を終了します。
米本国では#220K・#200A等も同年生産を終了し、84年モデルからは同じくイージーライトモデルのCL系に移行します。
CL系の生産は83年から始まります。
当時の「日本コールマン」での#275Aは86年までカタログ掲載されています。
テーパーグローブも90年代までは普通に店頭に並んでいましたが、ストライプフロストは早い時期に姿を消しました。
#880グローブのクリアタイプもColeman社での販売は終了してしまいました・・・
・
以前テーパーグローブの記事で紹介しているのでこちらもご覧ください・・↓ ↓・・
https://mowsuke.naturum.ne.jp/e3026214.html
この記事がすべてではありません、私の主観も多く含まれます。
訂正、削除など行うこともあります。参考程度とお考えください。
"The Weight" The Band 1968
それじゃあ・・また・・・
☮️
Posted by mariokeisuke at 09:00
│Coleman