2024年08月14日
Trangia Frypans
【トランギア フライパン】
こんにちは。
今回はトランギアの少し古い時代のフライパンを、いつものようにざっくりと考察してみようと思います。
その他の関連するモデルもカタログ情報を交えて紹介します。
1925年トランギア社はアルミ製の家庭用調理器具メーカーとして創業します。
1930年頃にはキャンプ用調理器具の生産も本格的になるようです。
創業間もない1926年のカタログにはすでにキャンピングセットNo.24の原型となるモデルが掲載されています。

現在のキャンピングセットNo.24
画像のフライパンはNo.725‐20* 直径は20cm。テフロン加工**と赤い塗装が施されています。
巷では『赤トラ』と呼ばれるモデルです。
ハンドルは固定された折り畳み式です、コンパクトにはなりますがスタッキング性はあまり良いとは言えないかもしれません。
1985年、岩谷産業株式会社とPRIMUS社の合弁会社「イワタニプリムス社」が設立されますが、程なくTrangia製品も扱うこととなるようです。
Trangia製品は2000年代初期までイワタニリゾート社のカタログに掲載されていました。PRIMUS製品のイワタニプリムス社とは区別されていたようです。
赤いモデルは80年代末頃から90年代初期に販売されます。
この時期の赤いフライパンにはほかにも直径22cmのNo.725‐22と、フタ付き深型で直径20cmのNo.726 (グルメ)がありました。
No.725はノンスティック加工されたもの、無垢のアルミモデルNo.724もあります。
*イワタニプリムス(リゾート)でのトランギア製品はTR-で始まるカタログ番号で表記されています。例えば上記の場合 TR-725-20 となります。
**トランギアのノンスティック加工はテフロンと表記する時代もありましたが、現在は「ノンスティック」とだけ表記されます。
91年
トランギアのフライパンはとても種類が多いのですが、その多くはクッカーとセットされたものでした。
クッカーにセットされたフライパンにはハンドルが様々なものがあります。
グリップハンドル、固定ハンドル、そして着脱ハンドルなどです。
着脱ハンドルにもフック式、ワイヤー式などがあります。
スタッキング性が考慮されています。
一方、単体で販売されるフライパンはハンドルが固定されたものが多いようです。
この時期に日本国内で販売されたフライパンは赤く塗られたものだけでした。
少し遅れて販売されるストームクッカーも赤いフライパンがセットされます。
94年、赤いトランギア最末期のカタログです。
単品で販売されるフライパンはNo.726(グルメ)だけになっています。
同時期のケトル。 左 No.324T 右 No.325T
「開口部が大きく、テフロン加工も施されているので鍋としても・・・」と以前紹介したことがありますが、私は湯沸かしでしか使ったことがありません。
料理がこびりつかない、手入れが楽というのが特徴のノンスティック加工ですが。
アルミ特有の黒ずみや錆び(孔食など)も表面の塗装も相まって、あまり気にすることなく使えるのも魅力です。
ノンスティック加工は空焚きしないこと、硬いものでこすらないことなどで長く維持することができます。金属製のヘラなどは厳禁です。
ジュニアクッカーNo.224 ボーイスカウト活動などの個人装備モデルです*。
フライパンは16cm ポットは1リッター
90年代初期、イワタニプリムスからは2263ストーブをセットした「Duo」モデルとして販売されていました。 ずいぶん前ですが、このブログで一度記事にしたことがあります。
固定式のハンドルは折り畳むことができます。
ハンドルの形状が何度か改良されているようですが、1930年代初期から90年代まで60年以上にわたって販売されています。
デビュー当時から基本的な部分はほとんど変わっていないようです。
なので、クラシカルな雰囲気も持っています。
無垢のアルミはやっぱりカッコいいですね。
このハンドル、初期にはスライド式のワイヤー、後に現在と同じような形状の丸穴のない(肉抜きされていない)ものなどもあります。
*スカウト活動などの個人装備モデルは、このNo.224と同時期に販売が開始されるメスキットNo.124もあります。No.224は90年代中期に姿を消しますが、No.124は今でも販売が続けられています。

メスキットNo.124 基本的なデザインは90年以上変わっていないようです。
右にあるフライパンはNo.628Tクッカーセットのものです。
フライパン18cm・ポット2リッター・ケトル0.9リッター がセットされたものです。
着脱式のフックハンドルを使用するタイプです。
この個体にはテフロン加工と黒っぽい塗装が施されていますが、無垢のモデルもあります。
イワタニプリムスからはシングルバーナーがセットされた「Trio」*というモデルで販売されていました。
このクッカーセットは、現在も本国での販売が続いています。
*「Trio」とNo.628クッカーシリーズではケトルにのみ違いがあります、おそらく「PRIMUS」用特別仕様なのだと思います。2243ストーブをケトルのフタに固定して収納できたためです。
トランギア製品はモデルチェンジが少なく息の長いモデルが多いです。
使いやすくするための改良は行われているようですが、基本的な部分は良い意味で変わっていません。
フタが簡易的なフライパンとしても使えるメスティンですが、オリジナルモデルであるハンドルの付かないNo.212は70年以上、少し遅れて登場するラージサイズNo.211も65年以上姿を変えていないようです。
イワタニプリムス社のウェブサイトでは「1970年代にメスティンの生産が始まる」と紹介されているようですが、No.212は遅くても1950年、ラージNo.211は1957年、ハンドルが付くようになるNo.210は1969年にはそれぞれカタログ掲載されています。
そんな変化の少ないトランギア製品ですが、時代による仕上げの違い、刻印されるマークの違いなど、鍋好き、アルミ好きには「たまらない魅力」があります。
こんなスペシャルな販売もされています、すべて当時の物、在庫限りのようです・・・
https://trangia.se/en/product-category/vintage/
Trangia社と歴史の共有ができる人に購入してほしいようです。
この記事を書いている時点では、ソープボックスと丸いメスティン、ランタンが売り切れになっています・・・丸いメスティン欲しかったなぁ・・
倉庫に眠っていたもののようですが、古い時代の製品がポリッシュされていることがわかりますね。
No.324 0.8L
No.324は1930年代中期に登場し、フタのつまみ部分やハンドル形状の変化、ハンドルカバーの装着などを経て60年代中期まで販売されているようです。
その後、No.324は現行のモデルに引き継がれますが、そのデザインは現在国内ではオープンファイヤーケトルとして販売されているものが原型かと思います。
原型と思われるコーヒーポット(ケトル)No.824も70年以上基本的なデザインを変えていないようです、当時販売されていた鍋に収納できるようスリムな形状になったようです。当時のモデルは0.8Lと少し小さ目。

現在のNo.824 0.9L 国内で流通しているモデルとはフタのつまみが違います。
フタのつまみがステンレスのモデルはNo.924ですが、イワタニプリムスから販売されているモデルはTR-OF324のカタログ番号です。
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現在、国内では数種類のフライパン(ケトル)がラインナップされています、用途やスタッキングに合わせて選ぶことができます。
https://www.iwatani-primus.co.jp/products/trangia/kettles-cookers/index_cooker.html
来年2025年はTrangia社創業100周年です、どんな記念モデルが販売されるのでしょうね? そんなのも楽しみにしています。
*イワタニリゾート社さんのカタログ、Trangia 社の資料を参考にさせていただきました。感謝。
それじゃぁ・・また・・
Lucky Man Emerson, Lake & Palmer 1970
☮️
2024年07月26日
PackTowl Cascade Designs MSR
【パックタオル カスケードデザイン MSR】
こんにちは。
今回は、高機能(速乾)タオル「パックタオル」の紹介です。
数種類のラインナップがありますが、私が所有するモデルの使用感などを記していきたいと思います。
購入後20年近く経過していますが、普段使いはせずにキャンプの時だけ持ち出しています。
上画像の青いタオルはウルトラライト。
その名の通り薄手の軽量モデルです。
和紙のような?不思議な手触りですが、肌触りは悪くありません、テント、タープなどの水滴の拭き取りやちょっとした手拭き(手ぬぐいがわり)に使用しています。
サイズも手ぬぐいサイズを使っています、畳むと胸ポケットにも入ります。
絞っただけで乾いてしまう・・と思えるほどの質感です。
黄色っぽい(カリー)タオルはパーソナルです。
肌触りが良いのでシャワーや風呂上がりにバスタオル代わりに使っています、Lサイズとやや大きめを使っています。
それでも畳むとメスティンのフタほどの大きさです。
フワフワのコットンにはかないませんが、収納性も良いのでとても重宝しています。
両モデルとも片面がメッシュのケースが付属されていました。
パックタオルは販売された時期によってカラー、サイズ、ケースのデザインが変わっています。
現在はカスケードデザインの中の一つのブランドとして販売されていますが、私が購入した2000年代中期はMSRブランドの中のいち商品として販売されていたようです。
90年代に登場するブラックライト、後にデュラライトなどのクッカーの緩衝材としても使われています。
パンハンドラーのケースにはワーゲンT-2などのデザインが描かれています。
このケース(スリーブ)は販売時期によって無地もあります。
オプション販売されているパンハンドラーにも付属されています。
これらの素材はおそらくオリジナルと呼ばれるモデルだと思います。
厚手のゴワゴワした感じの素材です。
一度濡らしてから使うほうが吸水性は良いようです。
洗車後の水のふき取りにちょうど良い感じ、と言えば質感のイメージはしやすいかもしれません。
この素材はパックタオルがカスケードデザインに買収される以前、トラヴェリングライト社の時代から同社のクッカーの緩衝材として使われています。
以前、トラヴェリングライトの記事で少しだけ触れています。
上の画像はカスケードデザインの販売に変わった直後のころ(90年代中期)のクッカーに装備されたものです。
古い時代のオリジナルと現在のオリジナルでは質感が違うようです?生産拠点や材質なども変化しているようです。
これはパックシャワー、アウトドア用のシャワーバッグです。
木の枝などに吊るして使用する簡易シャワーです。
カスケードデザイン90年代終わり頃のモデルだったと思います。
本体はPVC製。

2000年代後期、再びカタログに掲載され2011年までパックタオルと同様にMSRブランドでカタログに掲載されています。
この時期には本体の材質が部分的に変っているようです、デザインにも変化が見られます。
前面が透明のビニールになり、ホースの収納がそれまでのメッシュのポケットからテープでの固定になりました。
シャワーはもちろんですが、キッチン用やジャグ代わりにもなります。
夏季であれば朝に入れた水は午後には温水になっています。
寒い時期でも陽の当たる場所に半日も吊るしていればずいぶんと温かくなります、凍えるような冷たい水道の水での食器洗いなどの苦痛を和らげてくれます。
30リッターと大容量ですがコンパクトに畳めるのも魅力です。
防水バッグとしての使用もできることが「売り」でもありました。
素材(作り)もシッカリしているので多少の?乱暴な扱いにも耐えてくれています。
MSRではドロメダリーバッグというウォ-ターコンテナもあり、シャワーキットやアタッチメントも販売されていますが、ファミリーやグループ、連泊時などではこの大きさは安心だと思います。
キャンプ場での簡易シャワーはあまり現実的ではないかもしれませんが、頭だけでも水を浴びたくなることもありますよね?
ひと気のないキャンプ場(場所)なら思いっきりシャワーを楽しめます、連泊時には非常に助かります。
わざわざ出掛けることもなくなりますからね・・・荷物が心配で出掛けられないことも多いんです。
Made in U.S.A. と言うのもうれしい製品でした。
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ポータブルシャワーはサーフィンやSUPなどのウォータースポーツ、海水浴や川辺での水遊びの後など使える場面は多く、アイデア次第で年中使える道具です。
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それじゃぁ・・また・・・
Marquee Moon Television 1977
☮️
2024年02月27日
Coleman Quick-Lite Lantern L227
【コールマン クイックライトランタン L227】

左 1929年10月 中 1928年4月 右 1928年1月
こんにちは。
今回紹介するのは、クイックライトランタンL227です。
モデル #227 コールマン社の資料では LQ227、2LQ227 などの表記もありますが、この記事では一般的に呼ばれているL227と表記します。
クイックライトランタン#327系、#427系もQL・LQ・2LQ など多くのバリエーションがありますが、文中では #327・#427 と大雑把に表記していきます。


画像は I.C.C.C 「Guide to Vintage Coleman Products 」 1900~1983 より
1927年、クイックライトランタン用のアクセサリーとしてワイドサイズのベンチレーター #216-490 が発売されます。
このベンチレーターには「かしめ固定」された大型のボールナットとベイルハンドルも装着されています。
裏側はリフレクター効果のある白いホーロー仕上げが施され、グローブを押さえるための3ヶ所の爪とベイルハンドルを装着するためのブラケットが溶接固定されています。
27年はL227ランタン本体の出荷、販売はなく、このベンチレーターだけが販売されたようです。(後述)


翌28年からワイドベンチレーターを装着したL227が販売されます。
記録によると28年1月から工場出荷が始まるようです。この28年1月の出荷台数がL227としては一番多いようです。
27年製のタンクを持つ個体もありますが、出荷時期と製品の製造時期は必ずしも同時ではありません、作り置いたタンクを数ヵ月後に組み立てることもあります。
基本的にはモデル#427と同一です。
このL227に装着されるベンチレーターは先に販売された #216-490 からベイルハンドル部分、3ヶ所の爪が省略されたものです。
ベンチレーター パーツNo.227-480
上画像は本来爪とブラケットが据えられる部分に残るくぼみです。
このくぼみは表側からも確認できます。


大きなボールナットを装着するベンチレーターは穴も大きくなっています。
ベイルハンドルで持ち上げた時にベンチレーターに掛かるストレスを軽減するためと思います。
この大きなボールナットの付いたベンチレーターは28年初期の短期間に装着されます。
同じく28年、L227に少し遅れて登場するインスタントライト・スラントモデルL228の最初期にも装着されたものがあるようです。
*画像のベンチレーターはボールナットのかしめ部分(ワッシャー)が外れています。

28年中期以降、ベンチレーターはその後の#228シリーズにも見られる通常のボールナットを使用するものに変更されます。
このベンチレーターは63年頃の#228Eモデルまで装着されます。

大きなボールナットはワッシャー(プッシュオンナット状)でかしめられていますが、なかには固着するものや先の画像のようにはずれてしまうものもあるようです。
ボールナット単体では当時のパーツカタログには記載されていません。
おそらく単体での販売はなかったと思われます。
あくまでもベンチレーターの一部であるということなのかもしれません。
ただ、コールマンのサービスセンターなどではリペア用としてストックされていたものもあったようです。
私は偶然にではありますが、それらと思われる単体数個を入手することが出来ました。(新品?と思われるものも含まれていました)

フレーム パーツNo.227-498
フレームは専用のものが装着されるようになります。
#228B以降のモデルに比べ直線的な形状(水平に伸びてから直角に曲がる感じ)のベイルハンドルが特徴です。
初期のベンチレーターとともにこのフレームもL227の最重要パーツだと思います。


バーナー部です。
この時期のクイックライト共通のバーナー部です。
米国と英国のPATナンバーがそれぞれ刻印されます。
このバーナー周りに限らずクイックライトは各パーツに特徴があるので、製造年月の表示のない1924年以前のモデルでもおおよその年代を推測することが出来ます。

クイックライトランタンのバルブです。
ポンプ部がタンクに内臓される#427そしてL227の時期はフューエルチューブはタンクに固定されているので画像左側の3種類が適合します。
右にあるフューエルチューブの付いたものは#327用です。
一番下は40年代のリペア用パーツと思います、メッキはなくパックナット(ステムを固定するナット)が大きくなっています。この部分は旧モデルとの互換性はありません。バルブ本体ごとでの互換性は有ります。
US製クイックライトのリペアパーツは40年代末頃まで製造販売されていたようです。

古い時代のバルブは多くの部分がメッキされていますが、30年代以降パーツのメッキ部分は少なくなっていきます。
特にリペア用パーツはメッキされないものが多く見られるようになります。

L227は初期モデルとそれ以降のモデルではバルブホイールにも違いが見られます。
28年の後半頃から変更されているようです。
左の新タイプのバルブホイールの素材はベークライト。
右の旧タイプはファイバー製ということのようです、おそらく圧縮した繊維質の素材にフェノール樹脂加工したものと思います。(ベークライトもフェノール樹脂)
以前、旧タイプクイックライトのバルブ部を薬品に漬け込んだところ、バルブホイールが水分を含みふやけたように膨らんでしまったことがあります。
ひび割れ(剥離)の原因にもなるようです、メンテナンス等の際は注意が必要と思います。

ポンププランジャーAssy パーツNo.216-520
ねじ込み式のロングサイズです。
ほとんどの部分がブラス製です。
#220C(#228C)まで共通ですが、40年すぎ(#220B~#220BXに変わる頃)から素材、仕様が変わります。

右は#220Cのプランジャーです。
キャップの厚みが増し、ほとんどの部分がスチールへ変更されています。
時代によって素材が変化しています、特に戦時期とその前後は不安定と思います。
パーツナンバーに変更はないようですが、互換した場合若干の違和感は感じます。(私見)


チェックバルブとロングサイズのエアステムです。
クイックライト#427、ケロシンモデル#235・インスタントライト#220(228)Cモデルまで、そしてミルスペック#252等に装着されます。
下にあるのは一般的なモデル用です、大きさ、長さの違いです。

ウィングタイプのフィラーキャップ、フィラープラグとも呼ばれます。

上にあるギザギザしたのはモデル#427に装着されています。
24年に登場するポンプ部がタンクに取り付けられた最初のモデルです。
このギザギザのキャップは25年頃から装着されると思われます。
27年頃から下にあるデザインのキャップに仕様が変更されます。

左 旧タイプ クイックライト系 ・右 新タイプ #220B以降センタースクリュー付き
インナーディスク(コア)のガスケット部分の径が異なります。
タンク給油口のリップの厚さが古いモデルでは厚くなっています。
旧モデルに新タイプのキャップは装着することは出来ません。
現行のワンピースのキャップはオールマイティに使用することが出来ます。
ウィングタイプのフィラーキャップにも新旧、構造も違うものがあります。
スラントジェネレーターモデルはクイックライト系と同じウィングタイプのフィラーキャップが装着されます。
ケロシンモデル#235、US製後期クイックライト#427などは古い構造のインナーディスクですが、ウィングのないキャップが装着されています。
カナダ製クイックライト末期では#220B系以降のキャップが装着されます。


ジェネレーター
L227には左にあるQ99が標準装着されます、間もなく(29年)R55が登場し、クイックライトシリーズも販売末期の頃には標準で装着されるようです。
R55に比べ低価格で需要が多かったQ99は60年代に入る頃まで生産が続きます。
当時の生活必需品であるランプ、ランタンにはR55の便利さよりも使い慣れたQ99を選ぶ人も多かったのだと思います。
プレヒートしやすい形状も理由だったのかもしれません。
2本のマッチでジェネレーターを温めてから点火するのがこの時代のセオリーです。

1925年カタログより。
ここからは古いグローブの話をしたいと思います。


マイカ(雲母)グローブです。「チムニー」(煙突)とも呼ばれます、ただ、この記事では耳なじみのある「グローブ」で進めて行きます。
30年代に入るとガラスグローブも登場しますが、L227等のクイックライトランタンにはマイカグローブが標準装着されています。
L227等の後期クイックライトの時代は一番右のタイプ、グローブNo.327が装着されます。
コールマンマイカグローブNo.327 と言われるものにもつくりの違いが見られます、マイカの枚数、点火用扉の形状、接続方法など。(下画像)
中央は主に1910年代#327に装着されるワイドリフレクター付きNo.327。
リフレクター部分はワイドとナロー(幅の狭い)の2種類あります。
左はおそらくAkron社製、点火口の扉もマイカ製なのが特徴です。
当時、米国にはランプ、ランタンメーカーは数多くあったようです、各社共通サイズのものもありAGMやAkronなどのランタンにはコールマンのグローブに交換されたものも多く見られます、その逆も見られますが、100年も経つ今となればメーカーの違い、多少の作りの違い程度では違和感を感じることはありません。(個人の感想)
マイカは軽量で衝撃にも強いのですがフレームが錆びる、マイカ自体が曇ってしまい脆いと言う欠点もあります。
それでも使用できるのが長所でもあります。

コールマンランプ用マイカグローブ(マントルプロテクター)No.351 です。
入手時はこの状態で2枚重なっていたのでおそらく未使用だと思います。
わずかにメッキも残りますが、1946年を最後にすべてのマイカグローブは生産を終了しているようです、これも80年ほどは経過していると思われます。

Coleman のロゴがスタンプされています、コールマンのグローブは多くの場合ガラス製、マイカ製にかかわらずロゴが表記されています。
古いグローブでは目を凝らして見ると発見する可能性があります。

#242サイズのマイカグローブです。
点火口が付いています、このサイズのグローブには珍しいです。
メーカーは不明です。

古い時代のリペア用のマイカシートです。
天然マイカです、最近のものと比べると質感(透明感)は劣るようですが、当然?雰囲気はあります。

リペアパーツとしてはこんなものもあります。
点火口の扉です、折り曲げ部分の無い平べったい形状や爪の形状が特徴的です。
これもメーカーは不明です。
この扉に各社の個性があるように感じます。

Fred Kuntz(フレッド クンツ)氏により製作されたリプロダクトのマイカグローブNo.327です。
オリジナルに忠実に製作されています。(マイカの材質は異なります)
Kuntz氏はコールマン社で社員として働いていましたが、自らのコレクションとコレクター仲間のためにリプロダクトのグローブを作り始めました。
#242サイズのマイカグローブNo.440も含めコールマン製マイカグローブのほぼ全ての種類を製作しています。
後にガラスグローブも製作、そして広く販売するようになります。
日本国内でも90年代後半頃から徐々に流通するようになります、画像のものは97年に購入しました、 Kuntz氏の製作販売するグローブとしては割りと初期のものと思います、フレームのメッキ部分がくすんできましたが、まだピカピカな部分も目立ちます。
国内でも多く流通しています、作りが良いのでオリジナルと勘違いされる方も多いようですが、オリジナルは最低でも80年ほど経過しているので、それなりの雰囲気は持っているはずです。
近年製作されたものには日付の刻印が入っているようです。

これもFred Kuntz氏の製作したリプロダクトのNo.242ガラスグローブです。
1932年に#242ファーストモデル用として登場するこのサイズのストレートグローブには2種類有ります、マイカ製のNo.440とこのガラス製のNo.242です。
このリプロダクトもオリジナル同様サンドブラスト、両端は切りっぱなしで製作されています。
Kuntz氏の製作するガラスグローブはあえてオリジナルとは微妙にデザインを変えている部分が有ります、オリジナルに対する敬意(リスペクト)と聞いたことがあります。
オリジナルは極めて少ないのですが、今ではKuntz氏のグローブがスタンダードになっているように感じます。
Kuntz氏があえて変えた部分のデザインもそのままお手本になっているようです。
現在リプロダクトのグローブはマイカ、ガラス共に様々なものが多く流通しています、選択肢が増えるのは良いことだと思います。
ただ、リプロダクトが増えることで誤った知識が広がる懸念もあります。
見分けが付かない精巧なものが増えてきたこと、オリジナルを知らない、見たことが無いと言うのが主な要因だと思います。


この画像は30年代初期 #220B(#228B)に装着されたPYREX No.330 グローブのオリジナル初期タイプです。
#220B(#228B)は30年に登場しますが当初はマイカグローブが装着されます、No.330グローブは31年の出荷から装着されるようです。
初期タイプは分厚い素材の切りっぱなしにサンドブラストされています。
(右)サンシャインマークの無いロゴの PYREX マークには画像の4分割されたリングとリングのないものがあります。
サンシャインマークの無いPYREXマークにはMADE IN U.S.A. の文字も記されています。
(左)サンシャインロゴの PYREX マークにはリングが画像の4分割のほかにリングが8分割のものもあります。


サンシャインロゴ PYREX 文字だけのグローブは後期(末期)タイプです、エッジ部分がどちらも同じように丸く仕上げられていますが、片方(右)はかなり厚く作られています。感覚的には(左の)2倍はありそうです。
No.330ロゴの種類は他にもあるのかもしれませんが、私が今までに見たものは以上です。
ロゴ全体が初期タイプは割りと整っているのに対し、後期タイプは滲んだように乱れています、ステンシル?おそらく「型」的なものの磨耗が原因のひとつだと思います。
最初にプレスされたレコードの音質が良いと言われるのと同じ理屈?と個人的には思っています。(分かりづらいですか?)

サンドブラストロゴNo.330は3年から4年ほどの製産期間だったようです、この後緑色の Coleman スタンプロゴになります。
No.330サンドブラスト グローブもかなり少ないのですが、 No.242 グローブも極めて少ないと感じます。
No.242 グローブの供給も短期間だったことが関係していると思われます。
32年のランタン本体#242(1st)登場数ヵ月後にグローブNo.242も販売されるようです。
34年には#242Aへとモデルチェンジし、グローブは同時期に登場する丸いNo.550が装着されます。
(上画像参照)35年(左)のUSパーツカタログでは#242(1st)ランタンのリペア用グローブはNo.242だったものが、37年(右)ではNo.440に変更されています。
これ以降リペア用のグローブはマイカ No.440、もしくはすでに流通しているNo.550 グローブを選ぶしかなかったと思われます。
36年にデビューする#243もシリーズを通してNo.440が標準装着、リプレイスメント用としてNo.550を選ぶことが出来ました。
前述しましたがマイカグローブは1940年代後期ですべて製産は終了するようです、#242系、#243系などはこれ以降の交換用はNo.550 グローブのみになります。
国内外で見掛ける #242 ファーストモデルの多くはやはりオリジナルのマイカ No.440、もしくはリプロダクトグローブが装着されています。
特に米国ではコレクターに限らず、Kuntz氏の製作したリプロダクトのグローブが圧倒的に多い印象です。カッコいいうえに手頃な価格で人気があります。ただ、今後入手は今まで以上に難しくなりそうです・・・
本来、オリジナルグローブ No.330 とNo.242 とではロゴのデザインに若干の違いがあるのですが、リプロダクトでは共通のデザインになっているものが多いようです。
概してリプロダクトはクッキリ・ハッキリとしているものが多いように感じます。
サンドブラストは当時のものは表面に薄く施されぼんやりとしています、リプロダクトの場合深目でヤスリのようにザラザラした感じのものもあります。
製造方法の違い、薬品を使ったエッチングなどもあるようです。
他にもプリント(印刷)されたものなどもあります。
サンドブラストやマイカグローブの場合オリジナルとの違いは割りとはっきりしているのですが、近年のカラープリントロゴのものはよほどの眼力がないと判別は難しそうです。
オークション等の画像で見ただけでは判別は困難と思われます。
グローブに限った事ではありませんが、見極める目を持つことが今まで以上に必要になるのかもしれません。
・
古いモデル、さらには近年のモデルでさえリプロダクトのパーツが無ければ維持出来ない時代になりつつあります。
楽しみ方は人それぞれなので、オリジナルにこだわる必要は無いと思います。
リプロダクトパーツを上手く使いながら、少しでも長く使えるよう努力するのも大切なことだと思います。
ただ、オリジナルはオリジナルとして残すことも大切、そして必要だと考えます。
・
・
話は戻ります・・・思い出して下さい・・・
L227は32年に生産を終了します、出荷台数は6年の間におよそ18,000台余りのようですが、そのうちの約4,000台は27年のベンチレーターのみの数も含まれています。
同時期の#327・#427、L220・L228の出荷台数が、それぞれ多い時で年間数万台ほどもあることを考えると随分と少ない数字だと思います。
カナダモデルも販売されていましたが、やはり数も少なく販売時期、部品構成(仕様)もUSモデルとは異なる部分も有ります。
* カナダモデルに関してはまだ謎の部分も多いようです。
・
・
主観、憶測等も含まれます、追記、訂正、削除などを行うことも有るかもしれません。
それじゃぁまた・・・
Soon (The Gates Of Delirium) Yes 「Relayer」1974
☮️
左 1929年10月 中 1928年4月 右 1928年1月
こんにちは。
今回紹介するのは、クイックライトランタンL227です。
モデル #227 コールマン社の資料では LQ227、2LQ227 などの表記もありますが、この記事では一般的に呼ばれているL227と表記します。
クイックライトランタン#327系、#427系もQL・LQ・2LQ など多くのバリエーションがありますが、文中では #327・#427 と大雑把に表記していきます。
画像は I.C.C.C 「Guide to Vintage Coleman Products 」 1900~1983 より
1927年、クイックライトランタン用のアクセサリーとしてワイドサイズのベンチレーター #216-490 が発売されます。
このベンチレーターには「かしめ固定」された大型のボールナットとベイルハンドルも装着されています。
裏側はリフレクター効果のある白いホーロー仕上げが施され、グローブを押さえるための3ヶ所の爪とベイルハンドルを装着するためのブラケットが溶接固定されています。
27年はL227ランタン本体の出荷、販売はなく、このベンチレーターだけが販売されたようです。(後述)
翌28年からワイドベンチレーターを装着したL227が販売されます。
記録によると28年1月から工場出荷が始まるようです。この28年1月の出荷台数がL227としては一番多いようです。
27年製のタンクを持つ個体もありますが、出荷時期と製品の製造時期は必ずしも同時ではありません、作り置いたタンクを数ヵ月後に組み立てることもあります。
基本的にはモデル#427と同一です。
このL227に装着されるベンチレーターは先に販売された #216-490 からベイルハンドル部分、3ヶ所の爪が省略されたものです。
ベンチレーター パーツNo.227-480
上画像は本来爪とブラケットが据えられる部分に残るくぼみです。
このくぼみは表側からも確認できます。
大きなボールナットを装着するベンチレーターは穴も大きくなっています。
ベイルハンドルで持ち上げた時にベンチレーターに掛かるストレスを軽減するためと思います。
この大きなボールナットの付いたベンチレーターは28年初期の短期間に装着されます。
同じく28年、L227に少し遅れて登場するインスタントライト・スラントモデルL228の最初期にも装着されたものがあるようです。
*画像のベンチレーターはボールナットのかしめ部分(ワッシャー)が外れています。
28年中期以降、ベンチレーターはその後の#228シリーズにも見られる通常のボールナットを使用するものに変更されます。
このベンチレーターは63年頃の#228Eモデルまで装着されます。
大きなボールナットはワッシャー(プッシュオンナット状)でかしめられていますが、なかには固着するものや先の画像のようにはずれてしまうものもあるようです。
ボールナット単体では当時のパーツカタログには記載されていません。
おそらく単体での販売はなかったと思われます。
あくまでもベンチレーターの一部であるということなのかもしれません。
ただ、コールマンのサービスセンターなどではリペア用としてストックされていたものもあったようです。
私は偶然にではありますが、それらと思われる単体数個を入手することが出来ました。(新品?と思われるものも含まれていました)
フレーム パーツNo.227-498
フレームは専用のものが装着されるようになります。
#228B以降のモデルに比べ直線的な形状(水平に伸びてから直角に曲がる感じ)のベイルハンドルが特徴です。
初期のベンチレーターとともにこのフレームもL227の最重要パーツだと思います。
バーナー部です。
この時期のクイックライト共通のバーナー部です。
米国と英国のPATナンバーがそれぞれ刻印されます。
このバーナー周りに限らずクイックライトは各パーツに特徴があるので、製造年月の表示のない1924年以前のモデルでもおおよその年代を推測することが出来ます。
クイックライトランタンのバルブです。
ポンプ部がタンクに内臓される#427そしてL227の時期はフューエルチューブはタンクに固定されているので画像左側の3種類が適合します。
右にあるフューエルチューブの付いたものは#327用です。
一番下は40年代のリペア用パーツと思います、メッキはなくパックナット(ステムを固定するナット)が大きくなっています。この部分は旧モデルとの互換性はありません。バルブ本体ごとでの互換性は有ります。
US製クイックライトのリペアパーツは40年代末頃まで製造販売されていたようです。
古い時代のバルブは多くの部分がメッキされていますが、30年代以降パーツのメッキ部分は少なくなっていきます。
特にリペア用パーツはメッキされないものが多く見られるようになります。
L227は初期モデルとそれ以降のモデルではバルブホイールにも違いが見られます。
28年の後半頃から変更されているようです。
左の新タイプのバルブホイールの素材はベークライト。
右の旧タイプはファイバー製ということのようです、おそらく圧縮した繊維質の素材にフェノール樹脂加工したものと思います。(ベークライトもフェノール樹脂)
以前、旧タイプクイックライトのバルブ部を薬品に漬け込んだところ、バルブホイールが水分を含みふやけたように膨らんでしまったことがあります。
ひび割れ(剥離)の原因にもなるようです、メンテナンス等の際は注意が必要と思います。
ポンププランジャーAssy パーツNo.216-520
ねじ込み式のロングサイズです。
ほとんどの部分がブラス製です。
#220C(#228C)まで共通ですが、40年すぎ(#220B~#220BXに変わる頃)から素材、仕様が変わります。
右は#220Cのプランジャーです。
キャップの厚みが増し、ほとんどの部分がスチールへ変更されています。
時代によって素材が変化しています、特に戦時期とその前後は不安定と思います。
パーツナンバーに変更はないようですが、互換した場合若干の違和感は感じます。(私見)
チェックバルブとロングサイズのエアステムです。
クイックライト#427、ケロシンモデル#235・インスタントライト#220(228)Cモデルまで、そしてミルスペック#252等に装着されます。
下にあるのは一般的なモデル用です、大きさ、長さの違いです。
ウィングタイプのフィラーキャップ、フィラープラグとも呼ばれます。
上にあるギザギザしたのはモデル#427に装着されています。
24年に登場するポンプ部がタンクに取り付けられた最初のモデルです。
このギザギザのキャップは25年頃から装着されると思われます。
27年頃から下にあるデザインのキャップに仕様が変更されます。
左 旧タイプ クイックライト系 ・右 新タイプ #220B以降センタースクリュー付き
インナーディスク(コア)のガスケット部分の径が異なります。
タンク給油口のリップの厚さが古いモデルでは厚くなっています。
旧モデルに新タイプのキャップは装着することは出来ません。
現行のワンピースのキャップはオールマイティに使用することが出来ます。
ウィングタイプのフィラーキャップにも新旧、構造も違うものがあります。
スラントジェネレーターモデルはクイックライト系と同じウィングタイプのフィラーキャップが装着されます。
ケロシンモデル#235、US製後期クイックライト#427などは古い構造のインナーディスクですが、ウィングのないキャップが装着されています。
カナダ製クイックライト末期では#220B系以降のキャップが装着されます。
ジェネレーター
L227には左にあるQ99が標準装着されます、間もなく(29年)R55が登場し、クイックライトシリーズも販売末期の頃には標準で装着されるようです。
R55に比べ低価格で需要が多かったQ99は60年代に入る頃まで生産が続きます。
当時の生活必需品であるランプ、ランタンにはR55の便利さよりも使い慣れたQ99を選ぶ人も多かったのだと思います。
プレヒートしやすい形状も理由だったのかもしれません。
2本のマッチでジェネレーターを温めてから点火するのがこの時代のセオリーです。
1925年カタログより。
ここからは古いグローブの話をしたいと思います。
マイカ(雲母)グローブです。「チムニー」(煙突)とも呼ばれます、ただ、この記事では耳なじみのある「グローブ」で進めて行きます。
30年代に入るとガラスグローブも登場しますが、L227等のクイックライトランタンにはマイカグローブが標準装着されています。
L227等の後期クイックライトの時代は一番右のタイプ、グローブNo.327が装着されます。
コールマンマイカグローブNo.327 と言われるものにもつくりの違いが見られます、マイカの枚数、点火用扉の形状、接続方法など。(下画像)
中央は主に1910年代#327に装着されるワイドリフレクター付きNo.327。
リフレクター部分はワイドとナロー(幅の狭い)の2種類あります。
左はおそらくAkron社製、点火口の扉もマイカ製なのが特徴です。
当時、米国にはランプ、ランタンメーカーは数多くあったようです、各社共通サイズのものもありAGMやAkronなどのランタンにはコールマンのグローブに交換されたものも多く見られます、その逆も見られますが、100年も経つ今となればメーカーの違い、多少の作りの違い程度では違和感を感じることはありません。(個人の感想)
マイカは軽量で衝撃にも強いのですがフレームが錆びる、マイカ自体が曇ってしまい脆いと言う欠点もあります。
それでも使用できるのが長所でもあります。
コールマンランプ用マイカグローブ(マントルプロテクター)No.351 です。
入手時はこの状態で2枚重なっていたのでおそらく未使用だと思います。
わずかにメッキも残りますが、1946年を最後にすべてのマイカグローブは生産を終了しているようです、これも80年ほどは経過していると思われます。
Coleman のロゴがスタンプされています、コールマンのグローブは多くの場合ガラス製、マイカ製にかかわらずロゴが表記されています。
古いグローブでは目を凝らして見ると発見する可能性があります。
#242サイズのマイカグローブです。
点火口が付いています、このサイズのグローブには珍しいです。
メーカーは不明です。
古い時代のリペア用のマイカシートです。
天然マイカです、最近のものと比べると質感(透明感)は劣るようですが、当然?雰囲気はあります。
リペアパーツとしてはこんなものもあります。
点火口の扉です、折り曲げ部分の無い平べったい形状や爪の形状が特徴的です。
これもメーカーは不明です。
この扉に各社の個性があるように感じます。
Fred Kuntz(フレッド クンツ)氏により製作されたリプロダクトのマイカグローブNo.327です。
オリジナルに忠実に製作されています。(マイカの材質は異なります)
Kuntz氏はコールマン社で社員として働いていましたが、自らのコレクションとコレクター仲間のためにリプロダクトのグローブを作り始めました。
#242サイズのマイカグローブNo.440も含めコールマン製マイカグローブのほぼ全ての種類を製作しています。
後にガラスグローブも製作、そして広く販売するようになります。
日本国内でも90年代後半頃から徐々に流通するようになります、画像のものは97年に購入しました、 Kuntz氏の製作販売するグローブとしては割りと初期のものと思います、フレームのメッキ部分がくすんできましたが、まだピカピカな部分も目立ちます。
国内でも多く流通しています、作りが良いのでオリジナルと勘違いされる方も多いようですが、オリジナルは最低でも80年ほど経過しているので、それなりの雰囲気は持っているはずです。
近年製作されたものには日付の刻印が入っているようです。
これもFred Kuntz氏の製作したリプロダクトのNo.242ガラスグローブです。
1932年に#242ファーストモデル用として登場するこのサイズのストレートグローブには2種類有ります、マイカ製のNo.440とこのガラス製のNo.242です。
このリプロダクトもオリジナル同様サンドブラスト、両端は切りっぱなしで製作されています。
Kuntz氏の製作するガラスグローブはあえてオリジナルとは微妙にデザインを変えている部分が有ります、オリジナルに対する敬意(リスペクト)と聞いたことがあります。
オリジナルは極めて少ないのですが、今ではKuntz氏のグローブがスタンダードになっているように感じます。
Kuntz氏があえて変えた部分のデザインもそのままお手本になっているようです。
現在リプロダクトのグローブはマイカ、ガラス共に様々なものが多く流通しています、選択肢が増えるのは良いことだと思います。
ただ、リプロダクトが増えることで誤った知識が広がる懸念もあります。
見分けが付かない精巧なものが増えてきたこと、オリジナルを知らない、見たことが無いと言うのが主な要因だと思います。
この画像は30年代初期 #220B(#228B)に装着されたPYREX No.330 グローブのオリジナル初期タイプです。
#220B(#228B)は30年に登場しますが当初はマイカグローブが装着されます、No.330グローブは31年の出荷から装着されるようです。
初期タイプは分厚い素材の切りっぱなしにサンドブラストされています。
(右)サンシャインマークの無いロゴの PYREX マークには画像の4分割されたリングとリングのないものがあります。
サンシャインマークの無いPYREXマークにはMADE IN U.S.A. の文字も記されています。
(左)サンシャインロゴの PYREX マークにはリングが画像の4分割のほかにリングが8分割のものもあります。
サンシャインロゴ PYREX 文字だけのグローブは後期(末期)タイプです、エッジ部分がどちらも同じように丸く仕上げられていますが、片方(右)はかなり厚く作られています。感覚的には(左の)2倍はありそうです。
No.330ロゴの種類は他にもあるのかもしれませんが、私が今までに見たものは以上です。
ロゴ全体が初期タイプは割りと整っているのに対し、後期タイプは滲んだように乱れています、ステンシル?おそらく「型」的なものの磨耗が原因のひとつだと思います。
最初にプレスされたレコードの音質が良いと言われるのと同じ理屈?と個人的には思っています。(分かりづらいですか?)
サンドブラストロゴNo.330は3年から4年ほどの製産期間だったようです、この後緑色の Coleman スタンプロゴになります。
No.330サンドブラスト グローブもかなり少ないのですが、 No.242 グローブも極めて少ないと感じます。
No.242 グローブの供給も短期間だったことが関係していると思われます。
32年のランタン本体#242(1st)登場数ヵ月後にグローブNo.242も販売されるようです。
34年には#242Aへとモデルチェンジし、グローブは同時期に登場する丸いNo.550が装着されます。
(上画像参照)35年(左)のUSパーツカタログでは#242(1st)ランタンのリペア用グローブはNo.242だったものが、37年(右)ではNo.440に変更されています。
これ以降リペア用のグローブはマイカ No.440、もしくはすでに流通しているNo.550 グローブを選ぶしかなかったと思われます。
36年にデビューする#243もシリーズを通してNo.440が標準装着、リプレイスメント用としてNo.550を選ぶことが出来ました。
前述しましたがマイカグローブは1940年代後期ですべて製産は終了するようです、#242系、#243系などはこれ以降の交換用はNo.550 グローブのみになります。
国内外で見掛ける #242 ファーストモデルの多くはやはりオリジナルのマイカ No.440、もしくはリプロダクトグローブが装着されています。
特に米国ではコレクターに限らず、Kuntz氏の製作したリプロダクトのグローブが圧倒的に多い印象です。カッコいいうえに手頃な価格で人気があります。ただ、今後入手は今まで以上に難しくなりそうです・・・
本来、オリジナルグローブ No.330 とNo.242 とではロゴのデザインに若干の違いがあるのですが、リプロダクトでは共通のデザインになっているものが多いようです。
概してリプロダクトはクッキリ・ハッキリとしているものが多いように感じます。
サンドブラストは当時のものは表面に薄く施されぼんやりとしています、リプロダクトの場合深目でヤスリのようにザラザラした感じのものもあります。
製造方法の違い、薬品を使ったエッチングなどもあるようです。
他にもプリント(印刷)されたものなどもあります。
サンドブラストやマイカグローブの場合オリジナルとの違いは割りとはっきりしているのですが、近年のカラープリントロゴのものはよほどの眼力がないと判別は難しそうです。
オークション等の画像で見ただけでは判別は困難と思われます。
グローブに限った事ではありませんが、見極める目を持つことが今まで以上に必要になるのかもしれません。
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古いモデル、さらには近年のモデルでさえリプロダクトのパーツが無ければ維持出来ない時代になりつつあります。
楽しみ方は人それぞれなので、オリジナルにこだわる必要は無いと思います。
リプロダクトパーツを上手く使いながら、少しでも長く使えるよう努力するのも大切なことだと思います。
ただ、オリジナルはオリジナルとして残すことも大切、そして必要だと考えます。
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話は戻ります・・・思い出して下さい・・・
L227は32年に生産を終了します、出荷台数は6年の間におよそ18,000台余りのようですが、そのうちの約4,000台は27年のベンチレーターのみの数も含まれています。
同時期の#327・#427、L220・L228の出荷台数が、それぞれ多い時で年間数万台ほどもあることを考えると随分と少ない数字だと思います。
カナダモデルも販売されていましたが、やはり数も少なく販売時期、部品構成(仕様)もUSモデルとは異なる部分も有ります。
* カナダモデルに関してはまだ謎の部分も多いようです。
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主観、憶測等も含まれます、追記、訂正、削除などを行うことも有るかもしれません。
それじゃぁまた・・・
Soon (The Gates Of Delirium) Yes 「Relayer」1974
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