2023年12月18日
Coleman Lantern 286 ・288 Part.2
【コールマン ランタン 286 ・288】 パート2
こんにちは。
今回は前回に引続き#286系ランタン パート2 バルブ編です。
#286系及び派生モデル等のバルブ周りのパーツを考察してみたいと思います。
83年に生産が始まるCL系はそれまでのイージーライトモデルのバルブに更なる改良を加えます。
キャッチコピー「究極のランタン」と名乗るだけに、完成された新しいシステムになります。
旧#288Aバルブ部です。
新しいシステムの要である、エクセントリックブロックとバルブブロックです。
US製としては先代モデルの#275系では一体型だったエクセントリックブロックが二つに分割されました。
エクセントリックブロックはジェネレーター(ガスチップ)のクリーニングと、バルブコアを押し込む部分(バルブブロック)での燃料の調整を行います。
エクセントリックブロックはアルミ合金製?、バルブブロックは樹脂製です。
CL系初期には樹脂製のエクセントリックブロックが装着されていました、「A」モデルに変わるタイミングで現在の素材になったようです。
バルブステムです。
先端にオフセットされたピンの偏心した動きと連動したエクセントリックブロックの動きがこのシステムの基本的な働きだと思います。
上 パーツNo.#288A6141 #288・#285・#290・#295などのWマントル
下 パーツNo.#286A6141 #286・#282・#214・#200BなどのSマントル
グラファイトパッキンは現在市販されている一般的なサイズのものが対応します。
フューエルチューブです。
「究極のランタン」を名乗る所以はこのチューブにもあります。
燃料と空気が絶妙のバランスで供給されることも、この新しいシステムの重要なポイントと思います。
右 パーツNo.290-5231 #290・#295・#635Bなど用
左 パーツNo.288B5231 #286・#288・#282・#285・#200B用
ホワイトガソリン、無鉛ガソリンも使えるアンレデッド(デュアルフューエル)系共通です。
この画像は熱で変形、変色した#400Bストーブのフューエルチューブです。
分かりづらいですが「へ」の字に変形し、変色した部分が大きく凹んでいます。
以前、私が見たCL系ランタンのものはもっと変色・変形していました。
CL系初期モデルにはヒートシールドが装着されていませんでした、さらに初期モデルは光量も大きく*、変形したフューエルチューブは少なくはなかったと想像されます。
*当時の「日本コールマン」のカタログでは#286(CL1)は350cp、#290(CLX)は400cp と記載されています。 cp=キャンドルパワー
350cpはモデル#335、400cpはモデル#220等と同等の性能ですが・・・
これらのモデルには金属製のフューエルチューブが装着されています。
その後「A」モデルになると、それぞれ 200cp、300cp と変更されています。
ヒートシールドの装着と共に光量も落とされたものと思われます。
変形することで異常燃焼はもちろんですが、タンクの中に落ちてしまったり、抜けなくなってしまうことも考えられます。
「転ばぬ先の杖」・・・旧CL系にはヒートシールドの装着をお勧めします。
フューエルチューブにはバルブコアが内蔵されています。
バルブブロックの動きで燃料の遮断~開放を行います。
フューエルチューブのOリング



この図面は1985年にパテントを取得した際のものです。申請は84年のようです。
バルブステムの回転に連動するエクセントリックブロック・バルブブロックさらにニードル・バルブコアの繊細な動きが図説されています。
構造(システム)について詳しく説明されているようなので、興味のある方は検索してみてください。
1973年にカナダ工場で登場するEasi-Lite*システム、#321系#621系等のこのシリーズはとても神経質なバルブでした。
その後もバルブは目まぐるしく改良が重ねられていきますが、神経質なうえに日本国内でのパーツの流通量は少なく、苦労した人も多いのではないでしょうか?(私は匙を投げました)
75年には#275がUS製としては最初のEasy-Lite*モデルとして登場します。
そして83年、US製のCLシリーズに装着されるこの新しいシステムが開発されます、後年この新しいバルブシステムはそのままカナダモデル#325A・#625Aにも装着されることになります。
*イージーライト CANADA Easi-Lite ・ U.S Easy-Lite と表記が違います。
この新しいシステムの名称は特に表示されることはありませんが Adjustable が象徴的なワードです。
バルブボディはホワイトガソリン用と後発モデルアンレデッド系の2種類ありますがバルブステムやフューエルチューブ等は共通です、それぞれが互換可能です。
右のバルブがアンレデッド系のものです。
フレームナット、ジャムナット(ジェネレーターナット)のピッチが異なるのでこの部分の互換性はありません
バルブボディ、ジャムナット、フレームナットには「刻み」があるので識別は可能です。
燃焼システムは違いますが、ケロシンモデル#214系バルブの特徴的な部分も。
上画像はフューエルチューブです。 パーツNo.214-5231
ケロシンチューブの場合燃料を吸い込むだけの構造です、ガソリンモデルに比べ吸い込み口は大きくなっています。
エクセントリックブロック・バルブブロック部です。 パーツNo.214-3041
ガソリンモデルと違い光量調整は出来ないのでバルブブロック部はブラス製のかたまりです、バルブコアを押し込むだけの簡単なつくりです。
左が#214 系のものです。
ガソリンモデルはエクセントリックブロックとバルブブロックは別々のパーツとして販売されていますが#214用はセットでの販売です。
元々、#214系はバルブブロック部と一体型*だったのですが、後に(89~90年頃)分割されエクセントリックブロック部分が#286系のパーツと共用になりました。
*#214ケロシンランタンは当初モデル#218として開発されていたようです、#286等のCLシリーズ発表の翌年カタログ掲載されるのですが、何か不具合があったのか?#218は販売されることはなく、少し遅れて(86年)#214が発売されます。
初期#214系のエクセントリックブロックのパーツナンバーが 218-3041、プレヒートカップにも 218 のナンバーを見ることが出来ます。
#286(#288)と#214のジェネレーター初期のパッケージです。
CL系最初期から90年代初期まで装着されるジャムナットです。
下半分が丸くなっています。
赤い#286A、カナダモデル#325A・#625Aもこのナットが装着されています。
右は90年代初期以降から現在も装着されるジャムナットです。
どちらもパーツNo.288-1621 です。
アンレデッド系最初期から初期の一時期にも同じ形状のものが装着されています。
取り外しのできないジャムナットでしたが、アンレデッド系は他のモデルとはピッチが異なるので別体になった現在でもジェネレーターとセットで販売されています。
上画像のジェネレーターは最初期に装着されたウィングタイプのものです。
こちらは同じく、アンレデッド(デュアルフューエル)用初期のものです。
この時期にはまだ旧タイプのジャムナットも見られます。(一番下のパッケージ)
#286系や派生モデルの中でも特異なジェネレーターです。
89年に登場する非常時には無鉛ガソリンを使用することが出来ると言うこのアンレデッド(デュアルフューエル)モデルは、燃焼効率を上げるための工夫が凝らされていました。
ホワイトガソリンモデルに比べ一回り太く、上で紹介したウィングタイプ、そしてスリーブが追加されさらに太さが増したものへと変更されます。
このシリーズ、2000年代に入る頃を最後に日本国内での販売はなくなってしまいましたが、シルバーのタンク、黒いベンチレーターの精悍な色使いが魅力でした。
以前は不恰好に見えていたこの「ゴツイ」ジェネレーターも、今改めて見てみるとなかなか「カッコイイ」のでは・・・と思います!?(個人の感想)
バルブAssy パーツNo.286A6571
93~4年頃から現在の#286AのバルブAssyです、#286系はもちろんですがUS仕様の#200Bもこのバルブを装着します。
ちなみに、日本国内で流通する#200B系のバルブ周りは#282と共通です。
古いモデルのバルブを見慣れていると若干の違和感を感じます。
分解してみました。
ステムは2個のOリングが装着されています。
パックナット内には小さなグラファイトパッキン?も挿入されているようですが、このタイプのステムからの燃料漏れはOリングの交換で解決しそうです。
メンテナンス性は向上したようですが、コールマン社からのパーツの供給はありません・・・
・・・市販のOリングが対応するようです。
エクセントリックブロック、フューエルチューブなどには特に変化は見られません。
パックナットの形状が変化しています、新タイプはテーパーになっています。
左は旧タイプ。
違和感を感じたのはこの部分でした。
完成されたシステムですが、見えないところでも進化しているようです。

現在のワンマントルランタン
関連するアクセサリー類を少しだけ紹介します。
PYREX のストライプフロストグローブです。
CL系、「A」モデル初期に標準装着されます。
最初期と思われるグローブ(右)はストライプの本数、質感が違っています。
後に(86年途中?)クリアグローブが装着されるようになりますが、ストライプフロストグローブは、アクセサリー及びリプレイスメント(交換用)として販売が続けられます。
このストライプフロストは後にアンレデッドモデル、スペシャルモデルに標準で装着されたりもしていました。
#286サイズのツリーロゴのケース、色のバリエーションです。
CLシリーズと同時に販売が開始される汎用性のあるケース。
赤から緑へ、そしてアンレデッドモデルやスペシャルモデルに付属される黒のケースです。
ランタン本体と共にロゴマークを変えながら販売が続く、ロングセラーなケースです。
CL系ランタンと同時に登場するアルミ製リフレクター、右は#286・#288・#214 の外フレームに対応します。
左の大きいのは#290(CLX)を始め、#220・#228等の外フレームに装着できます。
カタ番 大#290-703 小#288-703

フレームとグローブの間に挟んで使用します、使わないときは半分に畳んでタンクの底に収納することが出来ます。
その事でパテントを取得したようです。
使わない時はコンパクトで邪魔にならない(置き場所に困らない)と言うことがセールスポイントでもあるようです。
外フレーム式ランタンと同様に販売は短期間だったようです。
90年代に入るとL型のステーをボールナットで固定するタイプになります。
91年のカタログ掲載が最初と思います。 カタ番#295-720
本体はアルミ素材、ステー類はスチール製です。
リフレクターはマナー的にも一つは持っておきたいアクセサリーです。
再販売して欲しいものの一つですが、現在のコールマン社を見る限り期待は出来そうもありません。
むしろ火器類に関してはパーツも含め打ち切られるものの方が多くなりそうな感じがします。
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これが全てではありません、間違い思い違いも有ると思います。
参考程度と、優しい目で見てやってください。
それじゃぁ・・また・・・
Danny Boy Eric Clapton
2024年が皆さまにとって良い年でありますように!!
☮️
Posted by mariokeisuke at 09:00
│Coleman