2016年12月15日
Coleman Mil-Spec Lantern
【Coleman Military Lantern】
【コールマン GIランタン】
GIランタンは1943年頃、米国陸軍からの要請で「Quartermaster Corps」*の指揮のもと 「Coleman」「AKRON」「AGM」そして「ALADDIN」の4社で共同開発されるようです。
軍に納入されるのは1944年からだと思われます。
製品として納入するのは「ALADDIN」社以外の3社です・・・・・・
「Coleman」社の「#220B」が基本になったのはそのデザインを見れば明らかなのですが・・・
一番の要になったのは「ALADDIN」社の開発したバーナー&エアチューブ(Manifold&Air Supply Tube)をはじめとした「コンバージョンキット」かと思われます。
バーナー&エアチューブ、バルブアダプター、そしてジェネレーター・・・これがこのランタンの最重要パーツだと思います。
このパーツを組み込むことでそれまで民生用として流通していたモデルがGIランタンへと転換されるのです。
*「United States Army Quartermaster Corps」=アメリカ陸軍需品科
「コンバージョンキット」
「ALADDIN」のバーナー&エアチューブの製造には「 Delta Electric Co, 」社と「Servel Inc,」の電気製品メーカーである2社も携わったようです。
「ALADDIN」の刻印が入ったバーナー&エアチューブには「 Delta Electric Co, 」もしくは「Servel Inc,」、どちらかの社名も刻まれています。
注・・「ALADDIN」の刻印だけの個体もあるようです。
バルブAssyも専用設計されたものがありますが・・・・・
とりあえずこのパーツがあれば「Coleman #220」系などは「GI」モデルへとコンバートします。
このエアチューブに社名の刻まれた「 Delta Electric Co, 」社はジェネレーターの製造にも関わっているようです。
真鍮(ブラス)材料が制限された時代なのでアルミニュウムが素材になったのかもしれません、加工も比較的容易だと思われます?
使用燃料は自動車用ガソリン等も使えますが、ホワイトガソリンが望ましいとされているようです。
ジェネレーターの寿命も延びますからね。
アダプター=ジェネレーターを取り付けるための角度がついたパーツです。
1942年「#220BX」
これは1942年11月の刻印をもつ「#220BX」*と呼ばれるモデルだと思われますが、「コンバージョンキット」が組み込まれています。
バルブAssyは民生用(#220)のものがそのまま使用されています。
タンクには紙にプリントされたコーション、オペレーション等が貼り付けられています。
同じように紙が貼られた個体がほかにも存在するようなので「#252」*が完成するまでの間、ある程度の台数が作られたのかもしれません・・・?
このように、このキットの使用で応急的?に民生用を軍用に転換させたモデルは「AKRON」そして「AGM」製にも見られます。
*「#220BX」=タンクをはじめ多くの部分にスチールを多用した戦時期のモデルです、「#220B」~「#220C」の過渡期に見られます。
*「#252」は「Coleman」社でのモデルナンバーです、各社共通のストックナンバーは「31-L-408」だと思います。
「バルブAssy」
左側3個(1930~40年代のものです)は「#220」用、右に1個あるのがGIランタン用です、同じように見えますね。
バルブボディの形状は時代と共に変化していますが・・・・
タンクへの取り付けピッチとアダプター(#220ではチップクリーナー)取り付け部分のピッチは共通です。
ただし、フューエル&エアチューブはバルブとの接続部分のピッチが「#220」とは違うため互換性がありません。
フューエル&エアチューブ、上から古い時代の#220系、比較的新しい時代の#220系、一番下がGI用となっています。
画像では、やはり同じようにみえますが、この接続部分のピッチが違います。
太さは初期モデルと同じく太めになっています・・・・
1945年「#252」
1944年のうちに 「Coleman」製は「#252」というモデルナンバーで専用設計の機種が登場します。
タンクの素材はブラス、タンク底の刻印も簡素なものです。
1944年モデルの初期にはパーツやマントルを収納するコンパートメントはありませんでしたが、途中から装備されるようです。
コンパートメントには、マントル6枚、プリッカー、ポンプレザー、バルブステム用グラファイトパッキンが収納されていました。
使用マントルは「Coleman」社の#21Aサイズが適応します。
GIランタンは基本的にロウプレッシャー(低圧)での使用です、ポンピングは25回くらいまでで十分なようです・・燃料の量、個体差もあると思いますが・・・
圧を上げすぎるとマントルの破壊や炎上なども考えられます・・・自分のランタンの「癖」をつかむのも必要かもしれません・・・・
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補充用のマントル・・・6枚単位でのパッキングがされていたようです。
「ALADDIN」と刻印されたバーナー&エアチューブは1944年と1945年の2年だけ・・・・
「Coleman」製の「#252」も1944年と1945年の2年間だけのモデルだと思います。
この後1952年「#252A」として復活するまでの間製造されることは無いようです。
前年の1951年「AGM」社のGIランタンが一足早く復活していますが、この年を最後に製産を終了するようです。
ちなみに「AKRON」製は1944年の一年間のみの製造だったようです。
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「#252A」の特徴として、色がオリーブドラブになったこと、ボールナットがベンチレーターと一体になったこと等があげられます。
この時代もグローブはまだワンピースでした。
グローブもGIモデル専用のワンピースです、軍用を示す「US」のスタンプが押されています。
最初期には「無印」のものもあったようです・・?
1950年代中期それまでのワンピースグローブから4分割(Quadrant)のグローブになります。
上画像2枚は4本のフレームにガラスグローブを固定するための「Channel」と呼ばれるパーツのセット。
下の画像は「PYREX」ブランドを持つ「CORNING」社のグローブが4枚パックされたものです。
すべてのパーツにストックナンバーなどが記されています。
このパーツに記されたストックナンバーなどは後年省略されてしまいます。
GIランタンの特徴あるパーツ色々・・・・
Mil-Spec* のバルブAssy・・・民生用とは仕様が異なります。 *上記参照・・・・
* Mil-Spec = Militaly Specification 米国国防総省が制定する軍規格
同じくポンププランジャー、これは「#220C」までと共通。
フィラーキャップ、これも民生用と共通パーツですがこの時期特有の「くすんだ」仕上げになっています。
ニッケルなども軍需品として制限されていたようですが、基本的に軍用品には反射する「ヒカリモノ」は少ないです・・・
敵に発見される危険が高まりますからね・・・
*時代的にカドミウムメッキされたものも多いようです。
レンチ&プリッカー、初期のものは後年のものに比べ太くなっています。バーナーフレームに格納します。
後年には仕様が変更され(細くなり)、タンク内のコンパートメントに収納するようになります。
大きなチェックバルブと長いエアステム、古い時代の「#220」系などと共通です。
初期のステムはスチール製ですが、後にブラス製となります。
バルブステム、「#220」系と共通パーツですがMil-Spec 仕様ではパッキンやノブは装着されていません。
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「#220」系のステムAssyがそのまま使用できます。
チェーンにつながれたファネルとフィラーキャップ・・・これもMil-Spec の大きな特徴です。
装着は初期のものはクリップ式ですが後にリング式になります。
1950年代末~60年代初期のバーナー&エアチューブです。
レンチを格納するクランプが無くなりました。
バーナーキャップ(マントルホルダー)の形状が変化しています、初期のものは薄い扁平型です。
*バーナーキャップは「Coleman」の他のモデルのものが共用できます。
この後バーナー&エアチューブは改良され分解作業が楽になります。
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GIランタンは1960年代以降
「Thermos」、「Auto-Fab Manufacturing 」(AFM)、「FormーTech」(FT)、「Armstrong Products Co. 」、「State Machine Products」(SMP)の5社も製造に携わっています。
「SMP」製ランタン・・・スター商事が輸入販売していた時期のカタログです。
この時期、同社ではランタンの他にもシングルバーナー、2バーナー等もラインナップしていました。
ランタンは92年のカタログ掲載が最後でした。
「SMP」製は1991年が最後の製造だったようです・・・・・
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第二次大戦中に登場してからおよそ半世紀のあいだ、世界中の戦地(紛争地)で活躍したであろうGIランタン・・・・・・・
これからは平和な世の中を照らし続けて欲しいですね・・・・・・・・・・・
それじゃあ・・また・・・

憶測の部分もあります、私の主観的な感想なども交えています・・・訂正、削除、追記など行うかもしれません・・・・・
* #220系戦時期のランタンも紹介しています。
https://mowsuke.naturum.ne.jp/e2966736.html
Posted by mariokeisuke at 08:00
│Coleman